〈漫画〉日々ロック感想 口コミ レビュー 評価 ロックンロール初期衝動をくすぐる。映画? 知らん
日々ロック・パンツ一丁全裸の歌
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汚い絵面、豪快で乱暴なストーリー。
そう、この漫画こそがロックンロール。
今も鳴り止まない、日々ロックという曲そのものなのだ。
誰にでもおすすめできる物ではない。
特に序盤の女子受けのしない感じは大変好ましい。
なのに、近年映画にもなった。
価格:3,024円 |
主人公は、冴えないボンバーヘッドでいじめも受けるスクールカーストの底辺高校生、日々沼拓郎。
そんな彼でも場末のライブハウスでステージに上がれば、アコースティックギター1本で勝負する一端のロッカー。
ヒートアップして全裸になるのが毎回のオチで、ニッチな彼の作風に危ないファンがついていたりする。
話の流れでヤクザにもギター一本フ○ちんで挑み、その歌声で一発かましたり、いじめられ仲間とやめたドラマーで文化祭ライブに乗り込み、ついにエレキギターと出会ったりする。
話自体はエキサイティングでも、目を見張る驚きがあるわけでもない。
圧巻は歌の場面。
引用:日々ロック
ストーリーはなぜその曲ができたか、ただそれに帰結するためのエッセンスで、1曲ずつにそれまで詰め込まれた「味」が発散される。
日々沼は絶対に格好良くない。
生涯に残る名曲も、タンスの中で飲まず食わず、手塚治虫が漫画にかじりつくように作る。
そして、魂の形をした曲を作り出す。
危ないファンだけに届いていた音が段々と「誰しも」の心に響き出す。
彼の日々を追っていくと、他に選択肢がないように、滲み出すような衝動にかられて、そういう衝動が生まれるような背景をして、ROCKをやっている。
引用:日々ロック
筆者がロックンロール初期衝動という言葉を初めて聞いたのは、「ギターウルフ」にまつわる映像だった。
それは筆舌に尽くし難い感情。説明のしようがない、まさに生命のうねり、鼓動のような、ただそこにある灼熱。
言葉で表現できないそれを、日々ロックという漫画は、日々沼達の音楽活動そのものを通して伝えてくる。
ああ、これだったと思い出させる。
ピアノの森、BECK など、音が聞こえるようだと評された音楽漫画は数あれど、
「ロックンロールを鳴らせる漫画」はこれだけだと筆者は思う。
ROCKという、衝動によって生まれる何かを説明できる、数少ない道具なのだと思う。